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少子高齢社会活性化のカギ クロスジェネレーション

若者との交流・若者の支援

イメージ:少子高齢社会活性化のカギ クロスジェネレーション

いい思いばかりしている高齢者には我慢ができない

若者からみると、現在の団塊世代をはじめとする高齢者は高度成長期に現役生活をしていい想いをして、定年後のいまは苦しい若者の年金で暮らしている恵まれ過ぎた連中だという想いもあるようです。また、比較的元気に旅行に行ったり買い物をしたりする女性たちに対しては、若づくりをして我慢のならないオバサンたちという気持ちもあるようです。これは若者のみならず40代ぐらいまでの男性にもよく見られます。

しかしながら、別項でもご紹介したように、少なくとも現在70代前半の団塊世代以降は、リストラ第一世代で会社でも最後の最後で残念なサラリーマン生活を過ごさざるを得なかった人たちであり、現在の50代はまさにそのただ中にある人たちといえます。また、女性たちも順風満帆かといえば、決してそうではなく、親の介護と子供のパラサイトや孫育てのダブルケアで大変な日々を過ごしているというのが現実です。そしてそうしたダブルケアの辛い日々があるからこそ、韓流にはまったり、友人やお仲間と別世界へ飛んでみたい、あるいはそうしないと精神的なバランスがとれない、ということもあるわけです。

こうした世代間の不幸なすれ違いは、誰がわるいというわけでもないにもかかわらず、社会的には不健全な空気を蔓延させているといえます。

新しい大人世代は若者と交流し支援したい

若者のほうはわからないのですが、少なくとも新しい大人世代の側では、若者と交流・協力したいとう気持ちを持つ人が7割を超え、また若者から新しい文化が生まれることを支援したいという割合も7割を超えています

その気持ちのあらわれが、羽生結弦選手や渋谷日向子選手を応援したり、将棋の藤井聡太氏の人気を盛り上げたりというようなことになります。

ただ一般生活者の日常生活における交流・支援となると、そうした場も回路もないというのが現状です。

趣味で交流

世代間交流が実現しやすいのは、趣味の世界だといえます。例えば、バイク、クルマ、音楽、囲碁・将棋、登山・トレッキングなどは世代を超えて趣味仲間が年齢をタテにつながりやすいといえます。

また、世代的な特性として、団塊世代以降の世代は団塊以前の世代に比べて、

  1. 上の年齢層であっても比較的権威性が少ない
  2. 団塊世代の若者文化が現在の文化の源流であることも多い

ことから一昔前であれば難しかった共通感覚や共通の関心事も持ちやすいといえます。団塊世代はもともと封建性と革新性を合わせ持っているため、会社にいるときは権威性を振り回しがちでしたが、リタイア後は会社という足場がなくなったためによりフラットな仲間感覚のほうが強くなっているといえます。例えば、ビートルズ、ローリングストーンズやレッドツェッペリンについて、より若い世代と語り合うということも可能ではあるわけです。

新しい大人世代が若い世代を支える仕組みづくり

年金で支えられる以上に若者をサポート

やはり問題なのは、年金でこれからより少なくなる若い世代がより多くなる高齢世代を支えなければならない、ということです。これは賦課方式のため簡単には変えられません。どうすればいいかというと、それは、新しい大人世代が若い世代を支える仕組みをつくることです。

例えば、待機児童の問題もなかなか解決しないなか、中高年女性による「子育て支援」をする。これは子供の預かりもあるのですが、若い母親はひとりで育児に悩むことも多く、育児と家事のワンオペで苦しむことも増えます。そのときに子育て経験のある中高年女性が相談相手になるだけで解決策が得られたり、大きく緩和されたり、ということがあるわけです。

また、わが国は欧米比べて若者の起業が少ない、ということが言われます。新しい大人世代自身の起業もありますが、より一層求められるのは、そうした若者の起業のサポートです。これも相談相手がいるだけで不安が解決されるということもあるわけです。

図表:新しい大人世代が若い世代を支える仕組みづくり