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コロナショック

日本の感染者数・死者数の少なさは50+「自己管理」パワー/「自己責任」でなく「自己管理」

イメージ:コロナショック

世界における日本の大きな特徴は、感染者数・死者数の少なさにあります。

そのファクターXの原動力は“50+「自己管理」パワー”

日本は当初から60代以上の感染者数が少なかった
-50代は60代以上に比べると全体にやや高いが、それでも他の年代よりは低めの傾向-

国内の年齢別の感染者数(月別)

厚労省感染者データ(各月厚労省発表日による)より:累計感染者数から未来ビジョン研究所にて算出しグラフ化

しばしば話題となった世界のなかの日本の感染者の少なさは50代以上の「自己管理」と世代連携によるとみられます。
(50+「自己管理」パワー=世界にも類のない感染数の少なさを生んだ)

  • 初期の段階から、60代以上の中高年感染者が少ないことが報道され、6月からは40・50代も追随しました。
    ワイドショーの視聴者である多くの50代以上がテレビを見て自発的に自粛した「自己管理」によるとみられます。
    (死者数の少なさも60代以上の感染者が少ないことが要因とみられます)
  • その後20・30代も外出自主規制し、第一波、第二波においては実質的な世代連携が働いたといえます。
  • 60代以上は自分が感染しないことと同時に他者に感染させない、とくに若い世代に迷惑をかけたくない気持ちもあるとみられます。
  • 第三波では50・60代以上の感染者の割合が増えたとされますが、やはり後半は減少して全体の波の沈静化にも貢献しています。

日本とは対照的に、アメリカも中国も欧州各国も60代ないしそれ以上の感染者が多いといえます。

図表:米国49州コロナウィルス年代別感染者数・死者数

(出典)CDC(米国疾病予防管理センター)
2月19日~3月16日調べ
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6912e2.htm?s_cid=mm6912e2_w

図表:中国コロナウィルス年代別感染者数

(出典)China CDC Weekly 2020.(中国疾病対策予防センタ−)2月17日発表をもとに人生100年時代未来ビジョン研究所にてグラフ作成
http://weekly.chinacdc.cn/en/article/id/e53946e2-c6c4-41e9-9a9b-fea8db1a8f51

とくに高齢化率が日本と近いイタリアは60代以上の感染者がわが国の2倍にもなり、それが感染者・死者数の違いになってあらわれています。

図表:累積感染者に占める60歳以上の割合と死亡率の国家比較(令和2年4月18日時点)

(出典)新型コロナウイルス【新規陽性者数・年齢階層別割合】
Twitterアカウント@corona_analysis

新型コロナウイルス感染者の年齢別分布

朝鮮日報3月23日配信 http://www.chosunonline.com/svc/view.html?contid=2020032380034&no=1

イタリアとの違い

イタリアは大家族で、無症状感染者の若者から高齢者に感染したとされます。日本は核家族であり、家庭内で若者と高齢者が接する機会が少なく、その高齢者が初期段階から外出等を自粛したことが功を奏したとみられます。

韓国は感染者数全体も60代以上感染者の割合も日本と近い

韓国は感染者数も欧米に比べて少なく年代別でも日本と似ています。両国を比較すると、韓国は「政府主導」型であり、日本は生活者の「自己管理」型といえ、そこが大きな違いといえます。日本は“50+「自己管理」パワー”

「自己責任」の危うさに対して「自己管理」の確かさ

「自己責任」の国アメリカでは国民皆保険のないことが、医者や医療機関での検査・診断行動を鈍らせ感染拡大されたとされます。自己責任は立派かもしれませんが、社会を破綻に導く危険性と背中合わせだともいえます。日本では中高年50+世代の「自己管理」が感染拡大を抑制しました。ひと昔前までは、「政府が悪い」「政府は何もやってくれない」という議論が横行しがちでした。今回のコロナウィルスでは、政府が何かをやってくれるのを待つのではなく、テレビなどから情報を日々入手しつつ、全国の中高年世代とりわけ60代以上が感染初期から自主的自発的に「自己管理」をしたことが感染者数・死者数の抑制を実現させました。政府に過度に頼らない「自助」が大きな成果を収めたといえます。

テレビと50+世代との共創

感染初期から60代以上が自発的に自粛したのは、最初に感染が発見されたのがダイヤモンドプリンセス号だったことも大きな要因といえます。ここに60・70・80代がかなり乗船していて、その年代に感染者が多く、そのことがテレビのワイドショーを通じて詳細に伝えられました。これにより、とくに60代以上の自己管理意識が高まったといえるでしょう。このテレビと50+世代の共創状態が、こうした「自己管理」行動を生み出した、といえます。世界でもあまり例をみないとされるわが国の感染者数・死者数の抑制はテレビのワイドショーと50+世代の実質的な連携で達成したといえます。

若者に迷惑をかけたくない

60代以上の「自己管理」は自分が感染したら大変だという意識がまず第一だといえますが、片方では他の人に感染させたくない、自分が感染者にならないようにしたいという意識もあるとみられます。それは同世代に対してもありますが、若者に感染させたくない、あるいは、自分が感染することで若い世代に負担をかけるようなことはしたくない、という気持ちもあると見られます。これは普段の生活でも若者に迷惑をかけたくない、負担をかけるようなことはできるだしたくないという意識があり、新型コロナのようなときには、よりそういう気持ちにもなるとみられます。

ニューノーマルは“検査”と“大人の距離感”と“分散化”

時代は進化しています。新型コロナを機にデジタルテクノロジーに医療テクノロジーも加わった生活がこれからより求められるようになるのではないでしょうか。すなわちPCR検査・抗原検査やワクチン接種等が日常的に出来て、「無症状の感染者」が市中を歩くのではなく、ただちに隔離に入る。症状が顕在化すれば医療施設に入る、ということが当たり前になる生活が望ましいといえます。
また、マスク着用は当然として、ソーシャルディスタンスが示した生活とは“人と人とのいい距離感”です。それはまさに「大人の距離感」といえます。
さらに、中高年大人世代も外出自粛のなか、少なからずオンラインコミュニケーションにチャレンジしました。そのオンラインコミュニケーションが示唆したのは「二地域居住や移住などによる分散化」の可能性といえるでしょう。

消費回復は給与が低減しがちな現役世代に比べ1900兆円の多くを持つ中高年大人世代から

2020年3月の日銀の発表で、2019年12月現在のわが国の個人資産は1900兆円に達し、うち1003兆円は現金・預金とされます。その多くは中高年大人世代が持っています。一方、コロナショックで飲食店等の廃業などで若い世代の給与は厳しい状況となっています。その若い世代に消費回復の全てを期待するのはなかなか難しい面もあります。その意味ではなかなか活かせなかったわが国の個人資産1900兆円は中高年大人世代が動き出すことで、消費回復の大きな力になるといえます。

旅行・外食などの「消費回復」と「若者の雇用」も中高年大人世代から

中高年大人世代がコロナ後の消費としてしたいことの1位が「旅行」で2位が「外食」でした。おカネも時間もある中高年大人世代が本格的に動き出せば消費回復も大いに期待できることになります。そのことによって、旅行観光で働く若者、外食産業で働く若者の雇用を生み出すことができます。「若者の雇用」という意味でも中高年大人世代の消費は大きく貢献できるといえます。

インバウンドより前に圧倒的多数の国内の中高年大人世代をとらえる

インバウンド(訪日外国人旅行客による観光)がなくなって旅行観光ビジネスは大打撃といわれますが、実は、インバウンドは2019年の観光庁の発表でも、国内旅行消費の17.2%に過ぎません。残りの82.8%は国内観光客であり、かつそのうちの44.7%は50代以上によるものです。
実際、新型コロナウィルス前においても、京都の観光客は日本人の50代以上女性客だけでインバウンドの2.6倍ありました。この中高年大人世代の旺盛な旅行消費の回復が旅行・観光ビジネス全体にとって先決でありかつ決定的な意味を持つといえます。
さらにいえば、インバウンドはこうした外的要因や海外事情によって左右されがちですが、国内の中高年大人世代の旅行需要は安定的といえます。この安定的な需要をベースとしつつ、その上でインバウンドを考えれば、各種の変動要因によってあまり左右されずに比較的安定した旅行観光ビジネスを展開できるといえます。

図表:観光庁「旅行・観光消費動向調査」、「訪日外国人消費動向調査」より算出図表:【年齢別】宿泊旅行および日帰り旅行の旅行消費額

中高年大人世代は「平日消費」・「オフシーズン消費」

とくに中高年大人世代の旅行消費の特長は、「平日消費」と「オフシーズン消費」です。とくにリタイア後は時間があるために、自由に時間が使えます。わざわざ混み合う「休日」や「連休・夏休みなどの旅行シーズンのピーク時」に出かける必要はありません。
むしろ、「平日」や「オフシーズン」に出かけてゆっくりと外食や旅行を楽しむことができます。そのことはビジネス側にとっても休日や旅行シーズンに片寄らずにコンスタントな来客や観光客が期待できるため、大きなメリットがあるといえます。

新しいくらしを創ろう

新しい大人のライフスタイル×ニューノーマル

50+中高年の新しい大人世代においては「これから自分なりのライフスタイルを創っていきたい」という割合が8割を超えています。(「シニアマーケティングはなぜうまくいかないのか~新しい大人消費が日本を動かす」拙著日経新聞社P.316) 従来は、50代以降は余生であり、終わった人として静かな老後の暮らしをし、介護に備えていくということでしたが、現在は、180度転換しつつあります。前述の旅行消費も全体のなかで大きなボリュームを占めています。また、2019年9月に創刊された初の60代向け女性誌「素敵なあの人」は創刊から3号連続完売でした。また50代以上女性誌の「ハルメク」は、35万部に達しています。40代から徐々にファミリーを卒業して行く大人世代が日本にこれまでなかった「新しい大人のライフスタイル」を創ろうとしています。この「新しい大人のライフスタイル」と「ニューノーマル」を掛け合わせた「新しいくらし」がこれから期待されます。中高年大人世代を中心に、子供家族および若者とも連携しつつ、これからの「新しい暮らし」が創られていきます。

日本型市民社会の創造

この「自己管理」によって、これから「日本型市民社会」が形成される可能性があります。政府に過度に頼らず、「自助」による自立した行動です。今後、50代以上がわが国の人口ボリュームゾーンであり続ける社会になります。単に50代以上は我慢していた、自粛していたということだけにとどまりません。これからより自立した市民による「日本型市民社会」が到来する可能性があるのではないかといえます。