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新しい大人女子の行動力・消費力

女性が動けばオトコも動く

イメージ:新しい大人女子の行動力・消費力

女性のほうが男性より動く

50代以降は女性のほうが男性より動きが活発です。それは50代で子供が独立して女性のほうが先に自分の時間を手に入れるということがあります。男性は60代になってようやくリタイアして自分の時間となります。

また、女性は子供が独立したということは、そこで大きな達成感を得る、ということになります。自分のお腹を痛めた子供が成長してイッパシの口をきいて独立して行くわけです。したがって女性の幸福度の調査をすると20代が一番高く段々下がるのですが、50代で再び上昇するということになります。達成感と同時に一種の解放感があるといえるでしょう。

これに対して男性は定年退職やリタイアを迎えるわけで、肩を叩かれたり、自分でも潮時感を感じてリタイアするわけで、多かれ少なかれ一抹の寂しさを伴ってリタイアします。

もちろん女性も子供が独立した当初はある種の戸惑いもあり、何をしたらいいかの迷いもあるわけです。また更年期障害に悩まされるのもこの時期です。そこで向かうのがお仲間とのコミュニケーションです。主に、ママ友、同級生から始まり、そのうち趣味仲間が加わります。そこでお互いの悩みも語り合い楽しみも共有するということになって大きなパワーになります。別項でも紹介しましたが、そのわかりやすい例がいまだに続く韓流ブームです。これはNHKの「冬のソナタ」を話題にしているうちに爆発したものです。これが娘に波及してK-POPとなり、それがまた東方神起などで逆流してと、増幅して行き、現在の若者の間での韓流になると同時に現在でも韓流ドラマはこの世代の女性に支持されています。現在はついに第四次韓流ブームと呼ばれ、「愛の不時着」は中高年大人世代と若者の両方に支持されているドラマだといえます。

おばさんから「新しい大人女子」へ

40-70代女性、とりわけ、50代以降の女性は、いま大きく変わろうとしています。当研究所調査でも男女とも大きく意識は変わろうといてしますが、とくに女性は男性以上に大きな変化をみせています。

何歳になっても若々しく、前向きな意識を保ち続ける大人でありたい

40-70代全国 女性 86.5% 男性 77.5%

 

何歳になっても若々しい見た目の大人でありたい
40-70代全国 女性 78.2% 男性 69.2%

この二つの質問に対して男性もかなり高い割合ですが、各々女性はその男性を10%近く上回っています。この年代の中高年女性はこれまで、「おばさん」「おばあさん」と呼ばれてきましたが、もはや「新しい大人女子」と呼ぶべき存在になっているのです。
そのことが消費に大きくあらわれています。

「新しい大人女子」が消費をリード

旅行観光に関しては、50代以上女性がまさにお仲間で行動をしています。別項でも紹介しましたが、現在観光では訪日外国人のインバウンドしか語られませんが、コロナ前、実は、京都は50代以上女性がインバウンドの2.6倍も行っています。高級旅館に泊まったり、湯豆腐や湯葉などのグルメをするのも彼女たちです。また、学び好きでもあるので、神社仏閣や歴史そして焼物などを多少深く学んで、大切にして行こうと思うのも彼女たちです。金沢でも同様です。夫を置いてお仲間で行くのが楽しい、というのはよく聞く話です。

また、全国の観光列車・豪華列車も利用します。JR九州のななつ星in九州は運行開始時に平均乗客年齢が65歳で、最近は61歳と少し若くなったという発表がありましたが、いずれにせよ、50代以上が利用しています。しかもクルーズトレインということで三泊四日の旅が中心であり、時間的に余裕があって初めて利用できるということができます。JR各社の豪華列車も同様といえるでしょう。しかも、女性の行きたいという気持ちを理解した夫がいる場合には、夫婦二人で行くということにもなります。
実は旅行も外食もおカネをかけていもいい相手は、男女ともに夫婦です。大人女子に引かれるように男性も消費をするということになります。

外食も同様です。とくに都心に次々にできる商業施設は、物販より飲食といわれますが、とくにコロナ以前は、まさに、それはこの世代が支えてきたといえます。東京でいえば、六本木ヒルズに始まり、丸ビル・新丸ビル、渋谷ヒカリエ、日本橋コレド室町、そして、日比谷ミッドタウン、渋谷東急プラザと続いています。新しい商業施設ができるたびにお仲間の間で話題になって皆で行きます。これは地方在住であっても東京にそのために来るという行動力です。さらに妻に引かれるように夫も夫婦二人で行くということになります。

美術館や博物館も大人女子です。とくに印象派は普遍的な人気です。美術展は海外の名画も仏教美術もあふれるほどの人の波です。

シネコンも映画にもよりますが、吉永小百合さん主演映画など平日の昼間の時間帯に大人女子でいっぱいとなります。

コンサートや演劇もこの世代の女性です。ロックやフォークは男性も来ますが、クラシックやオペラは女性中心でした。最近は男性も増えましたが、女子のお仲間でというのは定番です。少しおしゃれをして鑑賞し、グルメに行くというのはヨーロッパの大人文化と同じといえます。

新しい大人女子の行動を増幅させる「母娘消費」

さらに、彼女たちが男性と異なるのは、母娘コミュニケーションが活発だということです。一般的に娘が高校生ぐらいのときに、父母ともに一旦娘との距離ができる時期があります。その時期を通じて娘は大人に成長するわけですが、その後、父親とはなかなかコミュニケーションが回復せずに距離が開いたままであることも多いのに対して、母親とは20歳を過ぎて自立した大人になった頃からふたたびコミュニケーションが回復し、むしろ、最も仲のいい友人関係になることも多いといえます。

この母娘コミュニケーションがさきほど述べた新しいブームについての情報交換を活発化させ、さらには、消費に関しても、同性として一緒にショッピングに行くことも活発になります。とりわけ、ファッションに関しては、サイズが近いだけに着回しができる、ということにもなり、お互いに便利な存在にもなります。とくに娘にとって、母は自分を理解してくれる大きなサイフということにもなるわけです。母にとっても、息子も娘も社会人になれば手を離れて教育費もかからなくなり、手元にあるおカネはある程度自由に使えるわけで、旦那にはちょっとという気持ちはあっても、娘になら全然構わないということもになるわけです。

上記のような消費行動は友人ともしますが、母娘とも同様な消費行動をとるわけで、それだけ大きなパワーになるわけです

コロナ後は新しい大人女子の消費が爆発か

コロナウィルスに関しては誰も予測はできないわけです。2021年中の終息は難しいという専門家の意見もあり、また、ワクチン接種もどの程度すすむのか見え難い状況です。ただワクチン接種は65歳以上からはじまるわけであり、そのことなどにより、社会的安心感や沈静化がそれなりに見えてくれば、「新しい大人女子」の行動力・消費力は爆発する可能性もあるといえます。また、若者とやや違うのは、マスク着用やソーシャルディスタンスはかなりしっかりとって行動することが想定されます。その意味では、「新しい大人女子」がリード役となって、ポストとコロナのニューノーマルを示しつつ、わが国の消費を回復させて行く可能性が高いといえるでしょう。