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新しい大人市場を引っ張る女性たちPart1

新しい大人女子理論(前編)

ラボトーク第1回Part1山本貴代・阪本節郎

新しい大人女子理論を是非聞きたい

阪本節郎

本日は、新しい大人市場を引っ張る女たち、すなわち、新しい大人女子ビジョンと言ってもいいと思うんですが、その山本さんの理論についてお話をいただきたいと思います。

山本貴代

そうですね、昔は、雑誌といえばもう本当に若者の雑誌しかなくて、30歳以上女子をターゲットにした雑誌って私が会社に入ったころ(バブル期)は、ほぼないですよね。「ミセス」や「婦人画報」はありましたけど。
会社に入ったとき22、3歳でしょ、そのときは、結婚適齢期(当時は24歳)を「クリスマスイブ」とか「クリスマスケーキ」とかいう言葉に例えていた。でも、その後、晩婚化は進み、例えば「年越しそば」になって(「ノンパラ」マガジンハウス刊)。今思うと、笑い話だけど、もう「30歳」とかっていったら終わってるみたいな雰囲気でしたね。みんな29歳であがいていた。

阪本節郎

当時、25歳はお肌の曲がり角と言われて。

山本貴代

だからもう「24歳」がクリスマスイブで一番売れ時、それ以降は「ケーキが売れ残り」っていう。

濱口真彩子

松嶋菜々子さん主演の「やまとなでしこ」という2000年に放映されたドラマを数年前に見ていたら「女性はクリスマスケーキ」という価値観が出てきて、驚きました。

山本貴代

本当の話、クリスマス終わっちゃったらもうクリスマスケーキはもう売れ残りでしょ。当時大手商社に勤めていた友人は、25歳で本当に上司から肩を叩かれたって。意味わかる?

濱口真彩子

えーーーー……まさか…「会社やめてね」ってことですか?

山本貴代

そうそう。もうそろそろみたいな。そんな早い?みたいな感じだった。
男女雇用機会均等法が施行されてからは、女性の意識改革がどんどん進み、「29歳」がギリギリ説みたいな感じに上がって、その次に「34歳」になって、今もうまたさらに上がって、結婚適齢期という言葉は死語になったけど、出産のデッドラインでざわついている。それも古い考えかもしれない。全体的にうしろ倒しになって、ずいぶん寿命も延びました。この三角形の図は、昔はもう本当に若者が主役の世の中だったし、メディアも若者中心のものだけでパワー全開、だんだん歳をとるに従って、こう先細っていくというような感じだったの。ところが今は、逆三角形になっていって、今の若い子ってバブルも知らないし今はコロナ禍ということも伴って、あんまり元気が無い。それよりも上の40代、50代、60代、70代、歳をとればとるほどパワーアップしていく。それによってメディアもどんどんそっちをターゲットにいろんな雑誌が創刊されていく、というような構図になっているわけです。

阪本節郎

貴代さんもいまや(この図の)上の方の世代―

山本貴代

もう本当(大笑)熟年もいいところ(大笑)

阪本節郎

上から二段目、50代も半ば?(笑)

 

若かりし頃と変わらない!?

山本貴代

昔は…ワンレンかソバージュでハイヒールにボディコンしか着なかったですね。それが今やこんなAラインの服ばかり。大学生の息子に「なんかママちょっとおばさんみたいじゃない?」みたいなこと言われたりして(笑)。おばさんなんですけどね。
そう、もうラクな、そんなものしか着られなくなってしまった…。
阪本さんと出会った時もまだ若かったのに(笑)

阪本節郎

そう確かにね(笑)お互いに若かったよね(笑)

山本貴代

だってもう阪本さん、結構20年くらいの付き合いじゃないですか。
あたしが子供を産んで会社の研究所に戻ってきたのが36歳ですもの。
てことは20年経ってるっていうこと?(笑)

阪本節郎

あの頃と変わんないですよ、なぁんちゃって(笑)

山本貴代

なぁんちゃって、は余計です。

阪本節郎

すみません(笑)

濱口真彩子

昔の山本さんを知らずに言うのもあれですが、山本さんは変わらないと思いますよ。

 

30代のなかにも二世代ある

山本貴代

若手女性マーケターの濱口さんどうですか?

濱口真彩子

私ももう(逆三角形の図の)下から2番目です(笑)

阪本節郎

「結構まじめ女子」って書いてある。

濱口真彩子

本当だ!
バブルの経験ももちろんないですし、何ならリーマンショックの煽りを受けて就職氷河期を経験しています。そしてゆとりを超えてさとり世代と呼ばれることも…

山本貴代

さとり?

濱口真彩子

さとり世代は、一般的に「欲がない世代」と言われています。物欲、恋愛欲、旅行に行かないなど。草食系男子なんかもこの世代から言われ始めた特徴です。バブルど真ん中を経験されている阪本さん・山本さんから見ると、きっと真面目にみえるんじゃないかしら。
あと30代の中にある価値観の分かれ目のうち忘れちゃいけないのが、テレビ世代とYoutube世代という点。この分かれ目、今の33,4歳くらいにあると言われてるんですよ。そこで価値観がまたちょっと変わっています。

山本貴代

Youtube世代は?

濱口真彩子

下です。それより上はまだテレビが生活の中心にあった世代、そこから下はもうYoutubeばかり見ていた世代。それよりうんと下になると、Tverなどでまたテレビを見始めているんですけどね。そこで世代の価値観の醸成のされ方がなんかちょっと違うように見受けられます。

 

50代からパワー全開

山本貴代

知人が今Youtuberに挑戦してますね。55歳(笑)。

阪本節郎

すごいね、どんどん、パワー全開みたいな。

山本貴代

もうね、すごいですよ。波乱万丈な人生を送っている女子が、もう一咲きしたい、ということで、すごくフォロワーがついて、私は毎日それを見るのが逆に楽しみになっています。

阪本節郎

貴代さんは本当にみんなお仲間も、パワー全開ですよね。茅ケ崎のマダムとか。

山本貴代

その方は、ちょっとお姉さまですね。

阪本節郎

たしか、一番上ですよね。

山本貴代

いえいえ、もっと上はいますから。

阪本節郎

70代ですか?もうパワー全開ですねー。

 

リーディンググラスでYoutube

濱口真彩子

本当に今Youtubeのパワーってすごいですよね。全年代がスマホで気軽に見ている。
この間なんて電車の中で、アラセブのおじさまがYoutubeでちょっとエッチなYoutuberの動画を見ていて(笑)混んでる電車で何してんねん!って思いました(笑)

阪本節郎

一生懸命、食い入るように(笑)

濱口真彩子

見る場所は選んでほしいんですけど(笑)でもこのおじさま進んでるな、と感心しちゃって。この世代でも袋とじではなく、もうYoutuberなんですね。

山本貴代

私はね、電車で携帯を見ていたの、すごく文字大きくして。それでも老眼鏡で、いえ、リーディンググラスですね、それをかけないと見えないから、一生懸命見てたら、隣に座ってた小学生に「文字でか」って言われて―

(一同爆笑)

阪本節郎

言われちゃったの?(笑)
文字はでかくてもパワーは全開と。

 

女子欲は沢山ある

阪本節郎

じゃあそのベースになるものは何でしょうという。

山本貴代

はい。図をちょっとキラキラさせました。歳をとってくると鈍ってきますから、色々と。
画面もキラキラさせないと。特に女性は全方位なんです。男性って結構狭い部分に深くね。

阪本節郎

よく貴代さんが言ってますけど、男性の欲望はあれとあれしかない(笑)身につまされますけど。

山本貴代

男性は狭くて深い。女性は広くて深い。

阪本節郎

男性は考えも浅いみたいな(笑)

山本貴代

だから女性はもう本当にいろんなことに欲を持っていて、でその欲っていうのはなんかみんな欲望っていうと悪いものじゃないか、持ってちゃいけないものじゃないかって思うかもしれないけれども、欲望って本当に「前に進むエネルギー」だと私は思っているんです。ほんとにパワー、生きるための力というか、なので、これがなくなってしまうと、こうヒューって先細ってしまうんじゃないかなと思うんです。大海(たいかい)型、と言っているんですけれども、広くて、深い。女子力、色々ね、「健康でありたいヘルシー欲」であったりとか、「働き続けたい働き欲」、「きれいでかわいくいたい欲望」であったりとか、おいしいものを食べたいっていう「グルメ欲」、いつまでも輝いていたい「輝き欲」、恋愛、まぁほんとにリアルな恋愛じゃなくても「バーチャルでもいいから恋していたいっていう欲望」とか、自分をこう追求していきたいっていう「自己追求」、あとは「遊びたい旅したい欲求」、世の中をよくしたいっていうなんか「自分の欲ばっかりじゃなくて世の中をよくしたい」っていうのも欲望の一つ、あとは「比較欲」、隣のあの子よりもキレイでいたい―

阪本節郎

そう、まだあるんですか(笑)

山本貴代

ありますよ。

阪本節郎

お姉さま同士の(笑)

山本貴代

そうそうそう。あとね、「過去の自分よりもきれいでいたい」っていう、過去との比較、比較級の幸せというか、そういうのがありますね。

対談中の山本貴代

 

若い頃の自分より今のほうがいい

阪本節郎

過去の自分よりも、というのはありますよね。若者がすべてみたいな空気はありますけど、自分を振り返ってみても、若者のときはしょうもないというか、拙かったっていうところがあるわけですね。今はその時に比べてはるかに経験があるから、若者のときはなんであんなに拙かったのか、という気がするわけです。

山本貴代

成熟したヨーロッパ型というか成熟した女性…。

阪本節郎

ま、でも欧米型は少し落ち着いていくところがありますが、新しい日本型は、落ち着きというよりも、どんどん華やかになって行く、という感じですね。

濱口真彩子

よりパワーを増していっているように見えますね。

山本貴代

日本人は、年齢より若く見えるところもありますよね。

 

日本の女性には大いにポテンシャルがある

阪本節郎

それすごく大事で、日本のポテンシャルがあると思っているんです。
世界中の女性が日本の女性にあこがれると言われています。なんでいつまでもあんなに肌がきれいなんだっていうことですね。とくに欧米人、白人はシワが増えやすいところがあります。それに対して、日本人はいつまでも貴代さんのようにスベスベですよね。

(一同笑い)

阪本節郎

いやホントに。
日本のポテンシャルがそこにあると思っているわけです。
例えばIR、総合型リゾートなんかも、いまカジノがいわれていて、あれは主に男性なんだけど、女性をターゲットにしてトリートメントを軸にしたようなのはすごくポテンシャルがあるし、それがあれば世界中のお金持ちの女性が日本に来てお金を落としていただけるんじゃないかと思います。

山本貴代

そうですよね、本当に、お得な日本人。

濱口真彩子

そうですね。

 

女子欲のウラに潜んでいる気持ち

阪本節郎

次の図はその女子力が、更にどういう気持ちかっていうことなんでしょうか。

女子欲のウラに潜んでいる気持ち

山本貴代

そうですね、裏に潜んでいる気持ちですね。さきほどの図と、一応対になっているんですけど、「ヘルシー欲」っていうのは「ずっと元気でいたい」とつながるんですけども。「贅肉とりたい」とか、「センスがほしい」とか、「美味しいもの食べていきたい」とか、「キラキラしたい」とか、その裏に潜む気持ちっていうのをちゃんとこう形にしていくと、本当にマーケットチャンスっていうのがあちこち潜んでいるのではないかなと思いました。

 

日本人総女子説

阪本節郎

わかりました、「山本貴代理論」、「新しい大人女子理論」といってもいいと思うんですが、従来は、年齢を重ねるとずっとパワーダウンしていくといいますか、まあ最終的におばあさんになっていくということだったのが、そうじゃないと。パワー全開どんどん花開いていくと。どこまでいってもお姉さんという…。

山本貴代

あのー「日本人総女子説」っていうのを―

阪本節郎

「総女子説」、おーすごいすごい。

山本貴代

みんな女子。

阪本節郎

みんな女子。

山本貴代

この前50代の女性百何十人にちょっと独自で、50代の欲望調査っていうのをやってみたんですけど、いつまでも欲望を持ち続けたいかっていうのを聞いたら、死ぬまで欲を持ちたいという回答が多かったんです。

濱口真彩子

なんか、昔ってもっとこう、「年相応」とか、なんかそういう言葉ってあったじゃないですか、「年の割に」みたいな。そういう言葉って本当にもう、消えましたよね。

阪本節郎

なくなっちゃったよね。

濱口真彩子

それすごく素敵だなって思っていて。みんな、そんなこと気にせずに、素直に欲望に従っている感じがしますよね。

 

もはやアラセブ?

山本貴代

すごくおもしろい話があって、50代の女子にアンケートをしたんですけれども、あなたは50代前半ですか後半ですかっていうとこにまず最初にチェックをしてもらう。55歳の人が、すごく悩んだ。私は前半なの後半なのっていって。前半じゃないじゃないですか。50~59までの間だったら後半でしょ。なのに、すごく悩んで自分が後半だとわかった瞬間にものすごくショックを受けていました。アンケート作った私は、間違えて前半に丸をして(笑)

阪本節郎

間違えてね。

山本貴代

ダメじゃんみたいな。

阪本節郎

いやいやいやいやもう、実は私なんかもうアラセブですからね。
アラウンドセブンティ。

山本貴代

アラウンドセブンティですよ~。
信じられない。

 

素敵で若いアラセブのお母様

濱口真彩子

私も母がアラセブなんですけど、なんか50代の女のお友達がたくさんいて、

山本貴代

え~。私かぁ、とかいって(笑)

濱口真彩子

でもういつもその人たちと一緒に―

山本貴代

何してるの?

濱口真彩子

ランチして、

阪本節郎

あら素敵。

濱口真彩子

お茶して

山本貴代

何のお友達?

濱口真彩子

ジム友、ジムで仲良くなったお友達です。すごいキャッキャしてて楽しそうでいいなって微笑ましく見てます。

阪本節郎

素晴らしい。

濱口真彩子

でね、そのお友達との話を母からよく聞くんですが、その時に「話がちょうど合うのよね」って。

阪本節郎

おーすごい、すごい。

濱口真彩子

その言い切る感じ、すごいですよね(笑)。なるほど、この世代の感覚ってこういうことかと。

山本貴代

お母さま、すごく若い。

濱口真彩子

感覚とか自意識が若いなーって。自分は若いって心から思ってるし、そう思ってる自分になんの疑問も感じてないんです(笑)

阪本節郎

素敵なお母さま。

 

若い世代から総女子になるという大きな変化はどう見える?

阪本節郎

こういう、総女子になるんじゃないかっていう、大きな変化が今起こりつつある状況を、濱口さんは若手女性マーケターとして、どう思いますか?

山本貴代

若手女性マーケターていうところにちょっと引っ掛かりがありますね―

(一同笑い)

阪本節郎

若手が?(笑)

山本貴代

いやいや、いいの。濱口さんが若手なのはいいんだけど、私は何か枕詞がつくんですかっていう。

阪本節郎

“私”は永遠のお姉さんでしょ。

山本貴代

ありがとうございます。あはは(笑)

濱口真彩子

全世代総女子の時代と言われていますが、年齢や歳を重ねることへの意識は年々変わっているのを体感します。例えば私は今30代ですが、20代のころは20代が最強に違いない!と正直のところ思っていたんですよ。今が一番楽しい時期なんだろうなって。だから少し、歳を重ねていくのが怖かったんですよね。それが実際に30代になってみたら、最高に楽しくて!これから先大人になっていくのが、もっともっと楽しみになった。20代の頃って、全部欲しかったんです。仕事もスキルアップも友達も家族も遊びも恋もおしゃれも…何もかもを全方位に120%でやり切りたいしできると思ってました。まるでラーメン全部のせを注文しちゃうような感じ(笑)。今思うと拙いなぁって。それが30代になると「味玉のせがいい」ってわかるようになった。自分への理解が進んだ結果、自分がやりたいことや大事にしたいことが明確になって、いい意味で気が抜けて本当に大切なことにフォーカスしていける感じですね。人生がよりシンプルになっているように思います。さらに仕事的にも20代より断然お金や時間的な自由も得ている。迷いや無駄なく好きなことだけに全力投球できる感じが、なんか…ワクワクするし最高だなって。

阪本節郎

ナルホド。

濱口真彩子

そう思うと、先輩方が年齢を重ねるごとに益々キラキラして益々パワフルになっていってる理由が理解できる。何かに常にワクワクし、ときめき続けているんじゃないかな。それが「全世代総女子」化ってことなんじゃないかと、個人的には思っています。
こういう年々輝きを増す先輩方を間近で見ていると、自分もこうなりたいな、なれるかなって、これから先の人生が純粋に楽しみになってきます。

(「新しい大人女子理論」前編に続き、次回は「新しい大人女子理論」後編です)