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新しい大人市場を引っ張る女性たちPart2

新しい大人女子理論(後編)

ラボトーク第1回Part2山本貴代・阪本節郎・濱口真彩子

残り火(日?・美?)

山本貴代

私は56歳になったばかりなんですよ。いい歳だな~というか、ここまできたなーって思うことは度々あって、キャッキャ言ってるけど、実はおばさんだよな、と思うことは自分で本当によくあって。残り日を計算しながら生きております。

濱口真彩子

残り火?…あ~~。

山本貴代

ノコリビっていうのはね、残り日、“日”のビなんだけどまぁ「人生は3万日の大冒険」、と言った方がいたんですが、人生っていうのは80年を日に換算すると3万日の大冒険だというのは、すごいなと思ったんです。でも、56歳だとだいぶ後半の方にきている、そうするとあと何ができるかなとか、あと何やりたい、色々やりたいことはたくさんあるのに、何できるかなって思うわけです。その整理とか、突然死んじゃうかもしれないと思ったり、周りが病気とかなったりとか、ちょっと片付けも始めなきゃいけないとか、考えたりするわけです。終活じゃなくて、ちょっとずつきれいに整理して、やりたいことをやっていく、みたいなことも考えたりします。そうすると、ノコリビっていうのは、日にちの“日”と、美しいの“美”と―。

阪本節郎

あっ、美しいねぇ。

山本貴代

あと残り火のね、もちろんファイアーの“火”ね、消えゆく我のね(笑)、最後はわぁっと燃えましょう(笑)

阪本節郎

燃えましょう(笑)
わぁっとじゃなくてずーっと燃えましょうじゃないの(笑)

山本貴代

そんなこと考えるようになって。

阪本節郎

そう、少ないから逆に燃えましょうっていうことですね。

山本貴代

それもありますよね。「残り日」を計算しながら「残り美」と「残り火」を意識して生きてゆくわけです。

阪本節郎

だから、ちょっと一昔前は、もう、もう少ないからおとなしくしていましょうだったのが、貴代さんは少ないから燃えましょうになるっていうところが、これまでと180度違うんですね。

 

子育てと女性

山本貴代

それから、あといまどきの50代・60代は、子育てもひと段落して、自分の時間が持てるようになったとき、自分はこれから何をしたいかっていうことが、わからない人が結構多い。

濱口真彩子

あーそうですよね~確かに。
それで思うのは、昔であればお手伝いさんを頼むのはちょっと特別なことや特別な家庭だった気がするんですが、今は、子育て家庭はもちろん共働き、専業主婦家庭、単身者と、本当にいろんな人たちがみんな気軽にそういう外部のサポートを受けるようになってきていますよね。時代の変化。

山本貴代

ベビーシッターみたいな。

濱口真彩子

そうです。ベビーシッターや家事サポートが頼みやすいように、サービスが拡充して来ていますよね。気軽なものがどんどん出てきてるから頼む人も多くなり、結果心理的にも物理的にも障壁が下がっていっている。もちろん全体で見ると活用できているのはまだ一部の人かもしれませんが、そういった兆候は確実に出てきています。共働きも増えていますし、子育てをしていても昔よりはまだ自分の時間を取りやすくなっている、少しずついい時代になってきているとも言えるんじゃないかしら。

山本貴代

世の中が、子供を育てながら働くっていうのをだいぶ受け入れるようになってきて、私のときはもう全く理解が無くて、
ケッとか思ってるくらいだから―。

阪本節郎

(笑)

山本貴代

ほんとですよ。いまだに覚えている事件はいくつもありますよ(笑)

阪本節郎

え~、あぁそう。

濱口真彩子

もうだいぶ存在としてはマイノリティになってきているとは思うけど、男の人のなかには、なんで(女性が)働くの?働かないほうが幸せだよね?ってピュアに思っている人、まだまだいますよね。特に年齢層上めの方々(笑)。というか、自分たちの仕事はすごく大変なものだから、それを妻は支えて当然ってナチュラルに思ってる感じ。そして彼らに共通するのは、仕事とプライベートは完璧に分けるのが美学!女で働きたいなら男化しろ!みたいな空気で、すごく昭和的価値観で先輩方は大変だったろうなぁと思います。

山本貴代

だから、本当に昔のアグネス論争じゃないけど、講演に来てほしいって言われて地方に行くじゃないですか。でも夫も海外出張、子供がいる。こちらでベビーシッターを用意して、連れて迷惑はかけないから連れて行ってもいいか聞いたんですよ。そこが飛行機で行くところなんだけど、新幹線で行ってみたいなことを言われました。新幹線、子供はタダでしょ。もう絶対にみんなの目の前で子供を出さないようにシッターをちゃんと用意して、全部やったのに、子供が気分悪くなっちゃったんですよ。そういう大人の状況を子供はわかるんですね。絶対気分悪くならない子供なのに、体調悪くなっちゃったりして。ちゃんとこなしたのに、「次からは、一人で来てね」って言われて―。そういうのもありました。

 

社会人、妻、母、自分…女性の一人多役がコロナ禍で一体化

濱口真彩子

ちょっと話が先に進んじゃうかもしれないんですけど、なんかコロナですごくよくなった気がします。今までって、女性はいっぱい社会的役割があるって言われていましたよね。働く企業人として、妻として、母としてなどなど―、普段生活している上でいろんな顔をTPOで使い分ける必要があるのがまず大変で、さらにはそれに忙殺されているうちに本当の私ってどこにいっちゃったの?って悩みが大きくあったと思います。その状態を大前提として企業もいろんなサービスや商品を開発・ローンチしていた。
それが、今コロナでオンとオフとかそういうものが全部シームレスになってきているじゃないですか。平日昼間を考えてみても、家でzoom会議をしながら宅配を受け取り、資料を作りながら子どもをあやす。打ち合わせの合間に家でランチを作って家族で食べる。仕事もプライベートも何もかもが、ウチとソトが一体化してきている。
そういう環境が作られていくことで、これまでいくつもに分かれていた“自分自身”みたいなものも全部一体化してきている気がするんですよ。全部、私だし!っていう割り切りが皆生まれてきている。
今まで女性のいくつかある顔をベースに世の中のサービスや商品は開発されていましたけど、それがもうまるっと1つになったかなという気がしています。実はそのトレンドってちょっと前から少しずつ始まっていたんですが、コロナで一気に加速した。
一人の人間としての自分がまず真ん中にあって、そこに仕事・家庭・子育て・親・趣味などなどいろんな要素が入ってくるのは、人間としてとても健全だと思うし、もうコロナ前には戻れないんじゃないかな。そうなると今ある世の中のサービスや商品が開発された前提がガラリと変わるので、ここは大きなビジネスチャンスが広がっているんじゃないかなと思っています。

山本貴代

確かにコロナでね、よくなった部分っていうか、働き方に関しては、会社に行かなくても―。

 

濱口真彩子

行かなくてもいいですし…コロナでいろんな社会変化が、一気に加速しましたよね。

対談中の山本貴代

 

40代50代向けコンテンツも増えてきた

阪本節郎

ちなみに、濱口さんが、最近40代50代向けコンテンツも増えてきたっていう話をこの間していたような気がするのですが、どうですか。

濱口真彩子

あーーっそんなお話しましたね!普通に生活をしていて「やっぱり大人世代のパワーすごいなぁ」って実感するのが、大人世代向けに作られているものがめちゃめちゃ多いっていうこと。10年前までって、どの企業も「若者を取り込みたい!」だったじゃないですか。商品やサービス開発も広告も番組もコンテンツもメディアも、全てがF1(女性20~34歳)向けに一生懸命作ってた。何ならF0も。あの頃は、彼らが流行の発信源だった。それが、今って景色が変わってきていますよね。例えば街歩いていても、これまで若者文化の象徴だった渋谷のパルコが大人世代向けになっているし、お客が溢れている飲食店を覗いても大人が大多数。鬼滅の刃も火付け役はアニメ好きの大人ですよね。本屋に行ってもテレビをつけても大人向けの内容が増えている。人海戦術じゃないですけど、大人人口の凄さを感じます(笑)。社会の中心、消費の中心は大人なんでしょうね。

 

今どきの50代

山本貴代

ね、なんかやっぱお金持ってるというか一番使う人たちは50代以上。

濱口真彩子

人口ボリュームもあるし。

山本貴代

ちょうどこの前考えていたのですが、今の50代って全員が、バブル崩壊とその余韻を大学生か社会人の若い時に経験していて、いい思いをしている人たちなんですよ。

阪本節郎

そうそう。新人類とバブル世代。

山本貴代

まだ、結構元気で、ちょうど子育ても終わる人は終わって、で、バブルでお金を使った経験がある。自分の体験を通してってことでもあるんですけど、例えば、今、全部ブランドで固めていなくても、ひとつ何かブランドで、あとはファストファッションで、とか―。

阪本節郎

あ~、そうね。

山本貴代

あのー、全然それは、昔買って着ていたっていう一回なんか経験しちゃうと女性って強いっていうか、まぁ男性もそうかもしれない、一回でも2万円のワイン飲むとか3万円のシャンパン飲んだことがあれば、「あら私知ってるわよ」みたいな感じで、なんかずっとつながるっていうのがあって、今って全部買えなくても、なんかこう、その昔の体験をもとに生きていけるみたいな。

 

今どき50代の主役メンタル

濱口真彩子

や~ほんとなんか、あのーなんだろう、主役感あるんですよね、下から見てると。

阪本節郎

あ~そう、そうかね。

濱口真彩子

なんて表現していいのかわかんないけど、なんか、主役よ!感がすごいあって。

山本貴代

あはは(笑)

阪本節郎

そうかな。そうですよね。

濱口真彩子

たぶんそうだと思うんですよね。なんかその下ってほんとなんか、なんでしょう、その下はロスジェネ世代、さらに私もちょうどリーマンショックがあって、就職大変だった世代ですし、失われた20年だか30年だか、みんな苦労してきてるじゃないですか。ふと見上げると上はキラキラしてるなぁって(笑)。社会人になって先輩方の話を聞いたり立ち居振る舞いを見てて、それをめちゃめちゃ思いますね。

阪本節郎

あほんとに。それは例えばどういうものを見てそういう風に思うんですか。

山本貴代

上はキラキラしてる(笑)

濱口真彩子

んーー、なんでしょうね、なんか―。

山本貴代

おごってくれるとか?

濱口真彩子

んーー、なんでしょう。あのー、ほんと、いやこれすごく感覚的な話で恐縮なんですけど、人生とか世の中とかその場において、主役であることを信じて疑っていない感じというか―。

阪本節郎

あぁーっ、なるほどねー。

山本貴代

なるほどね。

濱口真彩子

パワーが前面に出ている感じがするんですよ。

阪本節郎

そうそう、あぁ~やっぱりね。

山本貴代

やっぱりねって(笑)

濱口真彩子

自分たちが当然主役だよね!だから、世の中のものも、自分向けに作られているのがあたりまえで、全部自分に相応しいものに決まってて、自分たちがいいと思ったものが世の中でいいものと見なされるものだよね!て感じっていうか、なっ、なんていうんでしょうね―。

阪本節郎

いやいやそう。新人類とバブルっていうのは、そういうのを若者のときに一番それを思った人たちなんだよね。それがずっと続いちゃってるから、いつまでたっても自分が主役のはずだっていう、そう。はずだ感。

山本貴代

まだね、まだ舞台に乗ってる感じ(笑)

阪本節郎

あそうそう、その通り。

濱口真彩子

あのーやっぱすごく思うのは、自分たちが一番世の中でいいものを知っていると思っている感じがすごくって―。

阪本節郎

あ~そうだね、そうそう。

 

“いいもの”をバブル世代の親から素直に学ぶ若者

濱口真彩子

この間、親がバブル世代の若者たちと話をしていたら、「うちは親が一番いいものを知ってるから」ってみんな言うんです。なので、親にこれがいいよって言われたものを素直に身に着けたり取り入れていってるんですよ。

阪本節郎

あ~なるほどね、ふ~ん。

濱口真彩子

これまでは、親や大人は若者のことなんて何もわかってない!っていう文脈でしたよね。親や大人が持つものは古臭く、自分たちの周りで流行っているものこそが最先端かつ最高だったはずで。それが、もう今の若者というか、バブル世代の子どもたちはそうじゃないんだというか―。

阪本節郎

あぁそうじゃない、親から学ぶみたいな(笑)

濱口真彩子

学ぶ、に、素直にみんななってる。

阪本節郎

なるほどね。

山本貴代

なるほどね。

濱口真彩子

なんか、それはすごい時代変化だなぁと思いますね。

 

世代共通のものも増えてきたんじゃないか

阪本節郎

あとなんか、世代にまた共通のものも結構増えてきたんじゃないかっていう。

山本貴代

母と娘とか。

濱口真彩子

あっそうですね。世代共通しているんじゃないかなって最近いろんなコンテンツとか思ってます。それこそちょっと前までは、韓流ヨン様ってちょっと上世代のものだったけど、今みんな韓流好きじゃないですか、大人世代も若者も。

山本貴代

みんな「愛の不時着」みたいな。

濱口真彩子

そう、「不時着」全員が見て、全員感動してキュンときて、でそういうものが、なんかその、世代問わず、みんな共通して楽しめるコンテンツになってきている気がするというか。これは、誰向け、誰向け、っていうんじゃなくて、いいものをみんなで楽しむみたいな感じになってきているのかなという風に―。

山本貴代

昔みたい。なんか昔、昭和のヒット曲って、美空ひばりがベスト10に入ると一ヶ月二ヶ月そのベスト10に入って―。

濱口真彩子

あっ、そうなんだ。

阪本節郎

あぁそうそう、全国民的なね。

山本貴代

でもだんだんサイクルが早くなっていったけど、今なんかまた、みんなで楽しめる―。

濱口真彩子

あっそうかもしれないですね。

阪本節郎

そう、だから、「鬼滅の刃」なんかもそうなのかもしれないね。

濱口真彩子

あっそうですね。鬼滅も、もともと火付けは大人のアニメ好きの女性だったんですけど―。

阪本節郎

あそうね、最初っから。若者じゃなくてね。

濱口真彩子

まそれが若者にももちろん浸透してきたし、で、全世代じゃないですか、大ヒットして、いいなぁとか。なんかそういう風にこう、これは誰世代向けだからヒットするとか、誰世代向けにこれはっていうのがどんどんなくなってきているような雰囲気―。本質的に“イイモノ”をみんな見極めて、それを全世代が楽しむ流れが加速してる気がする。

 

トレンドの形がなくなって、世代も超えて

濱口真彩子

なんか、ファッションのトレンドも今そんな感じしませんか。

山本貴代

う~ん、確かにね。だからなんか、あのーもうちょっと若いときには、なんかあたしブティックに行って、このブランド好きで手に取って、ふっと見ると、おばあさんみたいな人がいたりとかするのやだなぁって―。

阪本節郎

やだなぁ(大笑)

山本貴代

同じもの着るの、えぇーって戻したことあったんですけど、今逆の立場になってる(笑)

阪本節郎

あぁ逆の立場(笑)

阪本節郎

まぁでも、たぶんお店にいって貴代さんみたいな人がとなりにいてもね、

濱口真彩子

素敵だなぁと思います。

阪本節郎

「やだなぁ」から「素敵だなぁ」にねぇ。ほんとに変われば変わるもんだっていう。

山本貴代

(笑)

阪本節郎

(笑)

濱口真彩子

もうそれってベーシックってことじゃないですか。私が思っているのは女性の社会進出と関わってる気がして。なんか、会社で働いてそのあと子供のお迎えに行って、でそのあとママ友ともおしゃべりしてとかとかっていうのを、全部同じ服でこなさなきゃいけないってなったときに、たぶん、一番無難なベーシックなものに落ち着いているんじゃないかと思うんですけど―。

阪本節郎

あぁ~なるほどね。

濱口真彩子

なんかそれにプラスして、みんなとりあえずインスタとかでファッション見て、それで考えたりするようになってくると、年齢や時代的な特定の正解がなくなってきているじゃないですか。

阪本節郎

あ~、そうね。

山本貴代

そうね。朝なんかぴょんってなんかこうLINEとかに、なんかサイトが送られてきて、ん?とかって見てると、この洋服は何向けなのかよくわからないけど、なんか欲しいかもとか思って、もう少しで買いそうになってしまうことは何度もあります。

濱口真彩子

そうですよね。でなんか実際買ってみたら、10代向けの超ギャルブランドだったり―。

山本貴代

(笑)

阪本節郎

あぁ~なるほどね、面白い面白い。

濱口真彩子

えっこれ一枚700円?!みたいな(笑)

(一同笑い)

濱口真彩子

そういうのも、世代問わずみんな自分の感性でいいと思ったものを買うっていう風になると、パリジェンヌじゃないですけど、よく、パリの女性ってトレンドじゃなくて自分に似合うものをずっと追求して―。

阪本節郎

あぁ~そうそう、そうだよね。なるほどね。

濱口真彩子

ベーシックないいものを少数持って大事に着ていくみたいな。そんな感じになっていきそうだなと。

山本貴代

それはいいですね。

濱口真彩子

なんか素敵ですよね。

(「新しい大人女子理論前・後編」に続き、次回からは「社会改善/世直し欲」です)