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新しい大人市場を引っ張る女性たちPart5

食/グルメ欲

ラボトーク第1回Part5 山本貴代・阪本節郎・濱口真彩子

食/グルメ欲

リーズナブルな出張シェフでおうちグルメ

阪本節郎

前回、山本さんから旅欲で日本国内旅行にもう一度目を向けるというお話があったんですが、そういうことを含めてグルメ欲はどうですか。

山本貴代

どうですか、グルメ欲。

濱口真彩子

いいですか、私。

阪本節郎

どうぞ、もうグルメ欲満開で。

濱口真彩子

私ももちろんそうですが、皆食べ歩き飲み歩き大好きですよね。それがコロナで一変。外に出られない代わりに、おうちグルメがもうとんでもなく進化した。家で気軽にレストランを楽しめるようになりました。コロナ明けた今もそのサービスは健在で、人のグルメ欲やグルメ行動は確実に変わったと思います。

阪本節郎

なるほどね。おうちグルメね。

濱口真彩子

まず家の中でおいしい物を食べる、Uber Eatsや出前館などのサービスがすごい。

阪本節郎

フードデリバリーサービスですね。

濱口真彩子

そう、アプリをひらけばどんな食べ物でも飲み物でもスイーツでも、本当に何でもある!これまでは絶対テイクアウトなんて出来なかったレストランや予約困難店もデリバリーサービスに登録してますよね。それもすごい。
さらに内と外がシームレスにつながったなと思うのが、出張シェフサービスがとっても身近になった。

山本貴代

そんなにすごく高額じゃない。

阪本節郎

なるほど、出張シェフ。確かに。

濱口真彩子

そう!思ったよりもリーズナブルで、出張費材料費全て込みで1人数千円。フードデリバリーサービスも意外と高いから、それにちょっと上乗せしたくらいの金額で家にシェフが来て素敵な料理を作ってサーブしてくれるってすごくないですか?しかも皆大喜び。

山本貴代

友だちが?

濱口真彩子

そうです。友達も家族や親戚も皆すっごく喜んでくれる。ホームパーティのハードルが一気に下がったように思います。迎える側も行く側も、俄然気楽ですよね。しかもちょっとかしこまった感じも出せるようになったのでホームパーティの幅も広がった。
こうなってくると、これまでの手料理前提パーティは用意するのも持ち寄るのも、お互いちょっと気疲れが過ぎてたことに気づきます。(笑)

山本貴代

持ち寄りではなくて。

濱口真彩子

そう。呼んで作ってもらうのであれば、予算も外でご飯食べるのとそこまで変わらずに準備や片付けもお任せしたまま、ホストもゲストも何の気兼ねもなく楽しめますから。そしてもちろん美味しい!ホームパーティの開催数は爆増しました。実際コロナを経て出張シェフサービスは乱立し、それぞれユーザー数を伸ばしているようですよ。

阪本節郎

それは確かにね。

濱口真彩子

あと最後に、会員制紹介制レストランも!
コロナ前からこの流れはありましたけど、さらに増えていると思います。
会員制や紹介制レストランといっても限られた人しか入れないキラキラした超高級レストラン!というわけではなくて。実際アクセスするにはクラウドファウンディングなどで会員権を買ったり知り合いをたどらないといけないのでちょっとした特別感はあるんですが、価格は良心的。たいていどのお店も非常にコスパがいいんです。そのバランスが今っぽい。
そういったお店が人気なのはコスパや味もありますが、何より居心地の良さだと思います。お店も初めから常連のような扱いをしてくれますし、お客同士も、初めましての方でもなんとなく仲間感がある。自宅ではないレッキとしたソトなんだけど、ウチ感がある。やっぱりこれも、ウチとソトがシームレスにつながっているんだと思います。

グルメ欲とおうち時間

山本貴代

私は料理を作るのも大好きだし、植物とか、いろいろと育てることが大好きなので、家にいることも多いんです。コロナからは、パンも焼くようになりました。パンもオーッみたいな、みんなが驚くようなのを、先生にZoomで習ったりして。私があんまりにも何度もそのパンを焼いて、facebookにアップするので、ついに先生から、免許皆伝しようかみたいなことを言われ—。何度も作ると上手くなりますからね。ウフフ。

阪本節郎

へー、ほんと。

山本貴代

コロナ禍は、時間があったから、ベランダでモクモクと燻製に凝ったりもしました。買ってきた沢庵で、いぶりがっこ作ったり、ハーブを種から育てて料理に使うというようなことをやったり。時間をかける料理も作るようになりました。今年は、田舎から摘んできたカモミールやローズヒップでハーブティーも作りましたね。ローズヒップはすごく面倒だった。もう作らないかな。笑。昨日は、渋柿を一箱田舎から買ってきて、干し柿も作りました。忙しい時ほど、作りたくなるのです。

濱口真彩子

分かります。

山本貴代

そして人を呼んで、食べてもらう。

阪本節郎

なるほど。

山本貴代

だから家で。

阪本節郎

コロナで身についたのかな。

山本貴代

ご近所の仲間との誕生日会は、これまで外でやっていたのが、コロナでうちでやることになって、ケーキどうするって言われたので、じゃ焼きましょうと。これまた、ケーキの先生に習って。私ケーキも最近うまくなっちゃって。ホールケーキ買うと高いけど、自分で作れば、リーズナブル、甘さも控えめ。(笑)

阪本節郎

なるほど。

山本貴代

シフォンケーキの超おいしいのを焼けるようになったんです。クリームたっぷりフルーツモリモリの。

阪本節郎

シフォンケーキ!

濱口真彩子

私は、ケーキの型だけ買いました。

山本貴代

一番大きいやつね。

濱口真彩子

そう、まだ作ってはないんですけど、やりたいなっていう思いが溢れました。(笑)

阪本節郎

いいねェ。

山本貴代

アールグレイベースでスパイシーな紅茶葉の粉を入れて、シフォンを大人味にするんですよ。

濱口真彩子

おいしそうですね。

阪本節郎

今度いただきに行きましょうか。

山本貴代

実は前の日から作んなきゃいけないんですよ。

阪本節郎

前の日から?

山本貴代

逆さまにして、置いておかないといけないんです。さらには家で食べることが多いと、自分でお皿なんかも焼きたくなってきて焼き物もやるようになりましたね。たまに夫には嫌がられますけどね。「変なの焼いてきた」とか。失礼ですよね。

阪本節郎

焼き物ね。器でね。
器で食べさせるってなって来るね。

山本貴代

自分で焼いた物はちょっと欠けたりするじゃないですか。これは食洗器に入れないでよと言っているのに夫が入れてしまったりとかして。ちょっと欠けちゃったりすると今度は金継ぎを始めたら、それはそれでもう大丈夫かみたいな。

濱口真彩子

わー!私も金継ぎセット買いましたー!

山本貴代

結構楽しいですよね。

濱口真彩子

時間を忘れて熱中しちゃうんですよね。

山本貴代

きらきらするから。金継ぎね、欠けた所に金で継ぐじゃないですか。

濱口真彩子

ね。お皿が欠けても、金と漆と粘土でこうピタッてくっつけて直せるんですよ。

山本貴代

それをすごくまたリーズナブルに教えてくれる先生がいて。

濱口真彩子

習いたい。

山本貴代

ほんとにね、数千円で教えてくれる人がいる。そしたらほんとに私のお気に入りのお皿がさらに良くなった!みたいな。

濱口真彩子

金継ぎしたお皿、カッコいいですよね。昔の人で、あえて一回割ってくっつけている人もいましたよね。本阿弥光悦。

山本貴代

本漆は高いと思うけれど、ハンズなどで売っているものだったら手も出しやすい。そんなことをやったりしているともうなんか際限なくなっていきます。(笑)

生活リズムも変化し健全に

濱口真彩子

コロナを経て、圧倒的に夜早く寝るようになりました。

山本貴代

確かに。コロナのときは、旅館みたいな感じになってきちゃって。なんか日が沈み始めるとお風呂に入り始めて、ご飯の前に必ず全員お風呂にみたいなね。

阪本節郎

なるほどね。

濱口真彩子

私も同じ生活リズムでした。だから最近久しぶりに外食して家に帰った時、あれ?まだお風呂にも入ってないのにこんなに疲れてて、しかもこんな時間!?うっそー!ってショックを受けました。(笑) 家だと、ご飯の前にお風呂に入るから、のーんびり好きな物を食べて飲んでダラダラして、眠くなってきたらそのまま寝られるのが本当に幸せ。

阪本節郎

健全、健全。

山本貴代

うち早いですよー。5時半ぐらいにはお風呂入れ始めますからね。人が来る時も、その前に夫とか風呂入っちゃって。私も、ノーメイクでごめんなさいみたいな感じで会う時が多いかも。

阪本節郎

だから結構コロナを経験して、意外に人の生活がどんどん戻ってきたっていうか、自然の生活に戻ってきているところがありますよね。

濱口真彩子

そうですね、生き物として正しく。

阪本節郎

正しくなってきた。ちょっと。

山本貴代

昭和の感じになってきた。(笑)

阪本節郎

昭和の感じ。いや、でもほんとに自然な。

濱口真彩子

今思うとなんて不健康なことばかりしていたんだろう、と思うんですよね。

阪本節郎

そうそうそう。

濱口真彩子

朝まで働くのが普通。夜中の打ち合わせもまぁあるよねって感じ。そろそろ太陽が出て明るくなる時間だから家帰ろう、というような感覚だったじゃないですか。仕事だけじゃなくて皆で食事に行っても2軒目3軒目と飲むのが当たり前で。今思うとなんかおかしいなって。(笑)

阪本節郎

おかしいなと。

山本貴代

バブルで下からお立ち台が上がってきて登っていた時代は何だったんでしょうね。

阪本節郎

何だったんでしょうね。

山本貴代

よくテレビで出る風景。

濱口真彩子

万札こんなに持ってタクシー停めるやつ?(笑)

山本貴代

あれはちょっと後なのね。

濱口真彩子

そうなんだ。

山本貴代

まあそれもね、全員がそうやったわけじゃないけどね。広告業界なんかにいたからそんなことになったんだと思いますよ。

濱口真彩子

プロジェクトメンバーが(超多忙の)売れっ子ばかりで皆の予定が合わないから深夜3時から打ち合わせね!とかもありましたよね(笑)

阪本節郎

そうそうそう。
流石の広告業界も、より健全に変わりつつありますね。ちょっと話を戻すと、やはりおうちグルメは今後もありそうですね。おうちグルメにこれからのビジネスチャンスというか、加工食品は常に家に届く物だから、そこがもちろんありそうです。それからさっきの金継ぎじゃないけども、そういう教室とか、教えるサービスとか、ソフト的なところにまたビジネスの機会がありそうです。

濱口真彩子

手ざわりのある生活への原点回帰。

山本貴代

「暮らす」っていうことに対して。

阪本節郎

そうそう、「暮らす」っていうところにビジネスチャンスがあるわけですよね。「生活」に。

山本貴代

すごく。

濱口真彩子

お皿の数とかも絶対各家で増えていると思います。

阪本節郎

お皿ね、そうそう、おうちグルメであればある程、盛り付けや料理の見せ方も大事になって来ますね。よりおいしくお家で食べる、友人や仲間を呼んでおいしく食べる。そのためのお皿などの食器、そしてカトラリーなども揃えたいですよね。ただの食器棚ではなく、お皿など食器のギャラリーなどもありそうな気はします。

断捨離からリサイクルするマーケット

山本貴代

一方で断捨離も増えていますね。

山本貴代

それでメルカリも増えています。

阪本節郎

メルカリ、確かに。

山本貴代

ぐるぐる回っている。

濱口真彩子

そうですよね、セカンドマーケットで回り続けるみたいな。

山本貴代

うちの2階にセンスのいい若夫婦が住んでいるんです。そこがもう一人赤ちゃんが生まれるので、断捨離を始めまして。わが家はコーポラティブハウスなので、1階に彼女たちが木の机を出して。どうぞご自由にお持ちくださいって色々と素敵なものを出す。

濱口真彩子

ガレージセールみたいな。

山本貴代

センスがいいから、出しておくとすぐになくなっているの。私も頂いちゃったりして。(笑) それは無料でどうぞ、でしたけれど、みんなでガレージセールもやるんです。チラシ作って告知して。目玉商品決めて。そしたら、開店前から列ができたてりして。そこに便乗して私もいらないもの出して、売ったりして。楽しいです。
ちょっとしたお祭り気分。

濱口真彩子

今ニューヨークでも流行っているらしいですね。ニューヨークでは元々文化として、家の中のいらない物とかを道路に出しておくと誰か持っていってね、ということらしいんですが、今の時代はそれをSNSにあげる人がいて、それをみて欲しいものがあったら急いで取りに行く!って感じみたい。

山本貴代

どうぞご自由にって、外に置いておく方のね。テレビか何かで出ていましたよ、それ。

濱口真彩子

アメリカもそういう点はいいですね。

濱口真彩子

イースターというSNSアカウントがあります。投稿アカウントで。

山本貴代

今日出ているみたいな。

濱口真彩子

そそ、今日こんなのここに出ているというのを紹介しているアカウントです。ちょっと良さそうなものには見た人が殺到しているらしくて。争奪戦。
もしかしたらそういう、もう少しカジュアルに身近な所での物を回すC to Cみたいなサービスとかも――――

山本貴代

お金とか関係なく。

阪本節郎

これからね。

濱口真彩子

私はお買い物も好きだし定期的に断捨離するんですけど、もったいなくて。新しいし絶対使えるし欲しい人もたくさんいそう。今の私のライフスタイルに合わなくなっただけ。でもひとつひとつメルカリに出すのは手間だし面倒…。そして別にお金が欲しいというより、捨てる罪悪感から逃れたかったり、気に入っていたものを誰かに受け継いで欲しいっていう思いだけなんですよね。

阪本節郎

確かにね。

濱口真彩子

フリーマーケットも今の時代あまりないし。

山本貴代

それも準備とかもいろいろあるからね。

濱口真彩子

行き場がない…

阪本節郎

よく言われてはいますが、全部捨てないで回して行く、というようなことが、これからではないでしょうか。ファッションでも濱口さんの世代からですよね、若い女性が古着屋さんに行くようになったのは。これまで、大量消費は大量廃棄とワンセットだったけど、やはりそれが今大きく変わろうとしているということはいえそうですね。

―――――食/グルメ欲もコロナを経てこれまでとは異なるカタチが出て来ました。やはりそれは「おうちグルメ」に現れたといえそうです。なんといっても可能にしたのはフードデリバリーサービスです。出前という従来型にとどまらずに、いままでレストランで外食していた料理を頼んでおうちグルメをするということが広がったといえます。また、コロナ前から少しずつ利用されていましたが、濱口真彩子さんの言う「出張シェフ」ですね。シェフの店に行くのではなく、シェフに家に来てもらうということで、内と外がシームレスになって来たといえます。
さらに、在宅時間が長かったこともあって、朝昼夕のタスクとしての料理だけでなく、山本貴代さんのように、パンを焼いたり、ハーブを育てたり、と楽しむ料理も広がったり、シフォンケーキもつくり、スパイシーな紅茶も入れるなど、おうちにいる生活時間を楽しむ工夫が生まれたといえそうです。そのことで、より素敵な食器やカトラリーを揃える、さらには自分で器を焼く、というようなところにも広がりが出て来たように思います。
また、このグルメと関連しながら、より自然な生活の仕方がコロナ下ですすみ、さらには、大量消費で一般的だった「捨てる」から「回す」へと消費も変りつつあるということがいえそうです。
(所長談)

(次回は「健康欲」です。お楽しみに。)